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投資家の視点を持とう


あなたを富ませる会社は、どんな会社なのか?



資本主義がイギリスに定着して、200年以上が経とうとしている。学者達は、熱心に記録を取りどんな会社が統計的に投資リターンが高いのかが分ってきた。










目覚めよ、投資家達。常識を疑え!


私には、一つ憤慨する考えがある。「日本経済の為、あるいは世界経済の為にリスクを取りなさい」という考えである。

ベンチャーに投資する事で、経済は活発化し人々は豊かになる。という考えである。恐らくそれは、全体で考えれば正しい。それは国の為になるし、世界を救うのかもしれない。

しかし、肝心なのはここからだ。そのリスクをとるのは、我々投資家という事なのだ。貴方のお金を投じる事によって、貴方がお金を危険にさらす事によって、人々は豊かになるチャンスを与える事になる。

そして犠牲になるのは、時間を切り売りして稼いだお金を投じる貴方自身である。その資産は貴方の人生の一部であり、世界で最も崇高なものの一つなのだ。




歴史が教える冷徹な事実に目を向けるべきである。常にリスクをとらない企業に投資し続けた投資家が報われてきたという恐るべき事実である。





投資家のポジションから世界を見よう


過去統計上、長期に渡って最も投資家に報いてきた会社を貴方はご存知だろうか?それはアメリカの煙草会社である。社会の役に立ちもしない煙草会社が投資家に、思う存分振舞ってきたのである。

バフェットの投資するコカ・コーラ社も同様だ。100年以上に渡って存分に株主に振舞ってきたのである。これらの銘柄は、人々に快楽をもたらしただろうが、世界を救うような事は行っていない。研究開発も、設備投資も抑えに抑え、ひたすら配当を支払い続けてきただけだ。その結果、株主たちは存分に報われる事になった。


バフェット的思考に立つならば

公募(資金調達)=「 悪 」という事になるだろう。

しかし、経営学の立場に立つならば

公募(資金調達)=「競争力が増し、良い事だ」 となるだろう。

株主に報いる事が出来るのは、株主の資本を必要とする会社ではなく、株主に資本を提供し続ける会社であるという皮肉な現実なのだ。





不思議なのは、ここからだ。何故インターネットや雑誌、テレビメディアなどでコカコーラ社の特集が組まれたり、煙草会社の恐るべき収益の仕組みが特集されないのだろうか?

資本主義史上、光り輝く一部の銘柄や業界について特集が組まれる事は滅多にない。これらの銘柄は連日連夜半年間ほど特集を組み、歴代の社長の名前の全てを暗記するほど学んでも悪くないはずだ。何故ならばそれほど投資家に報いてきた会社だからだ。

しかし、現実にはそういう事にはなっていない。いったい何故なのか?



一つには、それはあまりにも投資家にだけ偏った視点だからだ。経営者の視点でも、従業員の視点でも、ましてや消費者の視点でもない。投資家の為だけの情報だからだ。

このような投資家だけの為の情報というのは、公に現れることは少ない。一般常識ともかけ離れる結果ともなろう。かくして投資リターンの高い会社ではなく、社会に必要な会社が注目される結果となる。


それは社会にとっては良い事でも、投資家にとっては不幸な事かもしれない。配当性向の低いベルギーでは、過去100年間投資し続けた投資家は辛酸をなめる結果となった。配当性向の高いスウェーデンでは、投資家は思う存分富を手に入れた。

参考資料
「証券市場の真実」より

1900-2000年
実質リターン
スウェーデン 7.6%
ベルギー 2.5%



全ての視点は偏っている


一般的にメディアが伝えるのは、社会の為になる事。そして全体から見て妥当と思われる事などである。いわば、大衆の視点である。良くも悪くも大衆の視点に偏っている。

経済新聞など専門性の高い情報誌も同様だ。経営や日本経済という大きな属性に偏っている。それは投資家の視点も含んでいるが、投資家の立場のみという偏った視点ではない。












投資に学際性を


投資に関連ある学問と言えば....


会計学

経済学

経営学

心理学

歴史


などが挙げられるだろう。これらの学問には、投資において非常に有益となる考え方や知識等が多くある。


しかし、注意すべき項目がある。これらの学問が教えてくれるのは、あくまでもその学問の視点であるという事だ。それは投資家の視点ではないという事なのだ。


会計学的に問題のない事でも、投資家の致命傷となる出来事はありうる。経済学的に致命的な事が起ころうとも、投資家には些細な問題という事もありうるのだ。


経営学的に正しいと思える行為を行う企業に投資する事は正しいのだろうか?その結果について大きな不満が残る。正しい経営を行う会社の脇には、死屍累々の投資家達が残されていった。





学問は、その学問の視点で物事を考える。それは投資家に向けられてカスタマイズされた情報ではない。貴方が必要なのは、投資家に向けてカスタマイズされた情報なのだ。有益なる学問の世界の情報を投資に適合させる必要がある。


そしてそれをやってのけたのが、証券分析のグレアム、そして世界1の億万長者ウォーレン・バフェット、そしてその理論家参謀のチャーリー・マンガーなのである。







投資家は投資家という自分勝手で偏った視点で物事を見よう


投資家が望むべきもの、それは世界を変える事でも社会正義でもない。多くの投資家にとってまず第一に求めるのは投資リターンではないだろうか?


ニュースで得られる情報は、投資家の貴方に向けられて発信された情報ではない。投資家というある種、貴方の為だけに発信される情報というのは、本当に数少ない。

それはあまりに自分勝手であり、独善的であり社会的に受け入れられない事も多い。



例えば「会社は誰のものか?」という議論がある。日本では散々議論が続き結論が出ない。皆にとっての正しい答えは、難しい。


ある人は「従業員の物である」という。ある人は「関係会社、株主、従業員のみんなのものである」という。





しかし、投資家の身勝手な答えとは


「会社は株主の物である」



というのが、都合がいい。どれが正しい事なのかは難しい。しかし投資家にとって都合の良い事なら話は分りやすい。


投資家にとってどのような企業に投資するのがプラスに働くのか?

どのような環境下で儲けに繋がるのか、ニュースを見ていては決して分らないだろう。


世の中に溢れる情報の多くは、投資家に向けたカスタマイズされた情報ではないのだ。


だから貴方は、自分のポジションを把握する必要がある。貴方のポジションとは投資家であるという事だ。


世の中に溢れる情報を、貴方の立場に置き換える必要がある。よく注意して欲しい。


良いニュースも悪いニュースも立場が違えば、世間の常識とは真逆の結論になるという事もありうる。









関連項目

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