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株式と法律V




B共益権

@ 議決権

会社法308条1項
 株主は、株主総会において、その有する株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の株式につき一個の議決権を有する。


 株主は基本的に1株について、ひとつの議決権を株主総会で行使することができます。
しかし、実際に株式を売買するときは1000株や100株単位で売買することが多く、1株単位で売買することができる銘柄は少ないですよね。
このように、まとまった株式を1単元とし、株主は所有する株式1単元につき1つの議決権を有することとする制度を単元株制度といいます。


会社法188条1項
   株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。


株式総会の開催通知などを株主に送付するなど、会社が株主を管理するのには非常に手間がかかるため、一定の数の株式をひとまとめにすることによって株主を管理する手間を少しでも軽くしようというのが単元株式制度の目的です。
最近では、会社が個人株主を増やすことを目的として1単元の株式数を1000株から500株や100株に減らす会社が多くなってきました。
この単元株式制度は、会社の手間を省くという点では良いのかもしれませんが、1単元が1株の会社もあれば100株の会社もあるなど統一されていないため、売買注文の誤発注のひとつの原因となっているともいわれています。
なお、1単元に満たない株式数しか有しない株主(たとえば1単元1000株の会社の株式を100株所有する場合など)は議決権がありません。
すこし話がそれてしまいましたが、議決権の話に戻りましょう。
つぎは議決権の何パーセントを握れば、経営にどのような影響を与えることができるかという話をしたいと思います。
ライブドアがニッポン放送の株式を大量に取得したニュースを覚えていますか。
あのころのニュースでは毎日のように、ライブドアが何パーセントの株式を取得すれば何をできるかということを流していました。

会社法309条1項
 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。

会社法309条2項
 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。

株主総会の議決には大きく分けて普通決議と特別決議の2種類があります。
前記の309条1項は普通決議に関する条文で、普通決議は株主総会に出席した株主の議決権の過半数で決議されます。ですから、基本的に会社の発行する株式の過半数を取得すれば、議決権の過半数を取得することができるので、普通決議を支配することができるようになるわけです。
普通決議には、取締役や監査役の選任や報酬の決定などがあります。
一方で、合併など、会社の重要な事項の決議には特別決議が必要です。
ライブドア事件ではこの特別決議のことが問題となっていました。特別決議を支配することができれば、その会社の取締役を解任して、自分にとって都合の良い取締役を送り込むことや事業の譲渡、会社の合併などの決議をすることができるからです。
この特別決議の議決は株主総会に出席した株主の3分の2以上の賛成が必要です。
ライブドアのニュースで議決権の3分の1以上を握れば重要な決議の拒否権を得ることができるといっていたのは、3分の1以上握られると他の株主が3分の2以上の議決権を握ることができないので、特別決議の議決のためには3分の1以上を握っている株主の協力が必要となるため、その株主には「拒否権」があるということができるからです。

A株主代表訴訟

上記以外の株主の権利として、最近ニュースなどでも耳にするようになった株主代表訴訟というものがあります。
これは、法律上さまざまな義務がある取締役など経営陣が、法に反してその責任を果たさず、会社が損害を被った場合にその責任を追及する権利です。
通常、このような責任追及の訴えは、会社側がその経営陣などに対して行うべきものですが、馴れ合いなどの理由からなかなか提起されないことがあります。その場合に株主が代わりに訴訟を起こすことができます。
ただし、株主であれば誰でも提起できる訳ではなく、6ヶ月前から引き続き株主である人しか提起することができません。
また、訴訟を起こす前に会社側に訴訟を提起するように要求し、それでも会社が動かなかった場合しか提起できません。
さらに、会社に代わって株主が訴訟を起こすのですから、株主は賠償金を直接もらえる訳ではなく、会社に対して賠償金を支払うように要求できるのみです。会社側に賠償金が支払われれば、間接的に株主も経営陣の義務違反によって被った損害から救済されるということです。

会社法847条1項
  六箇月前から引き続き株式を有する株主は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等若しくは清算人の責任を追及する訴え・・・を請求することができる。・・・

会社法847条3項
株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。


W財務諸表

投資する企業を選ぶ際に参考にする資料のうちで、大きな役割を果たすものに、会社の財務状況を示す貸借対照表や、会社の営業成績を示す損益計算書がありますが、このような財務諸表の作成も、会社法によって義務付けられています。

会社法435条1項
 株式会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。

会社法435条2項
    株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。

この条文によって作成が義務付けられている貸借対照表や損益計算書などのほかにも、上場企業は証券取引法などの法律によってさまざまな資料の作成を義務付けられています。

このように、会社の財務諸表の作成が義務付けられているのは、株主に会社の情報を提供するといった目的のほかに、債権者に対する情報提供という目的もあります。
企業にお金を貸す銀行にとって、会社の財務状況は重要な情報ですし、商品を納入している業者にとっても相手の支払い能力は重要な情報です。

さて、貸借対照表や損益計算書に表示されている項目も法務省令の計算規則というものに定められています。一部紹介しておきますね。


法務省令 計算規則  第二章 貸借対照表等より
104条1項  
貸借対照表等(貸借対照表及び連結貸借対照表をいう。以下この編において同じ。)については、この章に定めるところによる。
105条1項  
貸借対照表等は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。
一  資産
二  負債
三  純資産
105条2項
    資産の部又は負債の部の各項目は、当該項目に係る資産又は負債を示す適当な名
称を付さなければならない。
105条3項
    連結会社が二以上の異なる種類の事業を営んでいる場合には、連結貸借対照表の資産の部及び負債の部は、その営む事業の種類ごとに区分することができる。
106条1項  
資産の部は、次に掲げる項目に区分しなければならない。この場合において、各項目(第二号に掲げる項目を除く。)は、適当な項目に細分しなければならない。
一  流動資産
二  固定資産
三  繰延資産
106条2項  
固定資産に係る項目は、次に掲げる項目に区分しなければならない。この場合において、各項目は、適当な項目に細分しなければならない。
一  有形固定資産
二  無形固定資産
三  投資その他の資産





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