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株式と法律U




V株主の権利

さて、証券会社を通じて株式を取得し、株主になりました。
株主はどのような権利をもっているのでしょうか。

株主の権利について説明する前に、いつの株主が株主としての権利を取得するかについて説明したいと思います。

(1)いつの株主が権利を行使できるか

たとえば、株主総会の前日に株式を証券市場で手に入れた人は、翌日に開催される株主総会に出席することはできるのでしょうか。答えは「できない」です。
会社側からすれば、市場で毎日たくさんの株式が売買されて、株主がどんどんかわっていく状況ののなかでは、どの株主に株主総会の召集通知を送ればよいのか、どの株主に配当を支払えばよいのかわかりません。
そこで、会社側の負担を軽減するために、会社側は「株主名簿」というものを作成し、また、決められた「基準日」に株主名簿に名前が記載されている人を株主として扱えばよいということになっています。
株主は自分を株主として扱って欲しければ、名義書換を行って株主名簿に自分の名前を載せてもらわなければいけないことになります。そして、基準日に株主であれば、株主総会の日に株主ではなくても株主総会に出席したり、配当を受けたりすることができます。
ただし、東証などの証券市場で売買されている株式は、「証券保管振替機構(ほふり)」という機関に預託されていて、株式は証券保管振替機構の名義となっています。そして、証券会社などから報告を受けた機構が、決算期などの権利確定日に株主である人を実質株主として会社に通知してくれるので、株主はわざわざ会社に名義書換を求めなくてもよいのです。

それでは株主の権利についてみていきましょう。

(2)さまざま株主の権利
 
会社法105条1項
  株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。
  1号  剰余金の配当を受ける権利     → A@剰余金配当請求権へ
  2号  残余財産の分配を受ける権利    → AA残余財産分配請求権へ
  3号  株主総会における議決権      → B@議決権へ


株主には大きく分けて2つの権利があります。それは自益権と共益権です。
A自益権
自益権とは、会社から経済的利益をうける権利のことです。
主なものとしては、@剰余金配当請求権やA残余財産分配請求権があります。
B共益権
共益権とは、株主が会社の経営に参加する権利のことです。
所有と経営の分離のところで述べたように、効率的な経営が要求される株式会社では、株主が直接経営判断を下すことはできません。
しかし、会社のオーナーである株主は、株主総会において@議決権を行使し、経営をまかせる取締役の選任や重要な決定事項の議決に加わることによって、経営に参加することができます。
@議決権のほかにも、会社の経営を監督する権利としてA株主代表訴訟を提起する権利など様々な権利があります。

A自益権

@剰余金配当請求権
 
みなさんにとって1番身近な権利のひとつであり、株主の最も基本的な権利のひとつである配当をもらう権利のことです。

 
会社法453条
    株式会社は、その株主に対し、剰余金の配当をすることができる。
  会社法461条1項
    次に掲げる行為により株主に対して交付する金銭等の帳簿価格の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない
     同条8号  剰余金の配当


会社は上記の規定により、株主に対して剰余金を配当することができます。
しかし、会社の純資産を全部配当することはできません。
資本金のところでも説明したように、取引先などの債権者を保護する必要があるからです。配当できる金額は、法で定められている分配可能額を超えてはいけません。
どのように分配可能額を計算するかに関しては461条2項に規定されていますが、非常に長い規定となっているのでここでの紹介は省略します。分配可能額は簡単に言えば、その会社が今までの経営を通じて蓄積してきた利益ということです。
利益の配当というのは基本的に、その会社が1年間に上げた利益の中の一部を株主に分配するというものですね。しかし、上場会社のホームページやヤフーファイナンスなどで様々な会社の業績を調べていると、黒字なのに配当をしていない会社や、赤字なのに配当をしている会社が見つかります。
この背景には、当期損益がマイナスでも、今までの利益の蓄積で配当できる会社もある一方で、財務状態が悪い会社は、いくら当期利益がプラスでも、当期利益によって利益剰余金をつくることができず、配当できないということがあるのです。
ただ、経営によって得た利益を新たな設備投資などにあてて成長を維持しようという戦略から、黒字でも配当をしない会社もあります。
もし会社が順調に成長すれば、会社の拡大にともなって株価が上昇することが期待できるので、株主は配当を受けることができなくても、キャピタルゲインという形で利益を受けることができる場合もあります。
一方で、成長が止まり、これから利益の増加が見込まれないような会社であっても、たくさんの利益の蓄積がある会社であれば安定した配当を行うことができ、株主は株式の取得単価が低ければ低いほど、市場平均より高い配当利回りを得ることができるということになります。 

A残余財産分配請求権
  
 株主は、もし会社が解散した場合に、残った財産の分配を受けることができます。
 もちろん会社は継続的に事業を行うことを目的としており、経営が順調な会社が突然解散するというのは考えにくいことです。
しかし、たくさんの純資産を保有する会社の株価が業績不振などの理由から低迷している場合に、その会社の株式を安く取得することができれば、時価総額が純資産額を下回っているときは、実際の企業価値より安く手に入れたことになります。
なぜなら、仮定の話になりますが、その会社が解散すれば、株式の取得額より多くの分配を受けることができるからです。





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